「王子」とは熊野の神様の御子神(あるいは眷属神)を勧請して御祀りした場所のことで、一般に「熊野九十九王子」と言われるほどにその数は多く、「中右記」の時代には24社が記録され、100年後の藤原定家の御幸記では80社と大幅に増え、現在では95社が、熊野古道沿いに熊野三山への遥拝所的役割を持って道標のように存在します。

王子社間の距離は片道約300km内に99社として約2kmから3kmに1社ある勘定になり、その昔は難行苦行の道であったという熊野古道において、やむなく途中で引き返す場合は参詣者は最後に辿り着いた王子社で参詣し、引き返したといいます。

中でも位が高いとされる「五体王子(藤白王子、切目王子、稲葉根王子、滝尻王子、発心門王子)」は設備も良く、道中の安全を祈願して、熊野懐紙という紙に歌をしたためる歌会や、御神楽の奉納も行われ、宿坊としても利用されました。

本宮町には猪鼻王子、発心門王子、水呑王子、伏拝王子、祓戸王子、湯峰王子の6社が現存します。

上記写真:猪鼻王子社
 
文・熊野古道語り部