熊野信仰にかかわる伝承
熊野信仰にかかわる伝承

小栗判官、照手姫物語

 国を攻められ、三河国へ落ち延びる途中、盗賊に毒酒を盛られ全身マヒという不治の病の身となり、夢で「熊野の湯に入れば治る」と教えられ、小栗判官は酒場の遊女・照手に助けられて湯の峰温泉に向かう。照手は女のか細い手で判官を車に乗せ険しい山道を、いく日もかけて温泉にたどりつき、1日に7回色の変わる「つぼ湯」で湯治に励んだところ全快した。

 乗ってきた車を土に埋め全快後の力を大きな石を持ち上げ試したとされる。小栗の死後、仏門に帰依した照手は長生比丘尼と名のり一生を終えた。

 湯の峰には、今も車塚・力石・小栗が髪を束ねていたワラを捨てたところから、稲が実るようになったという「撒かずの稲」などが残っています。

湯の峰・車塚



鼻欠(はなかけ)地蔵

 左甚五郎が本宮大社の修理に来ていた時、湯の峰から毎日大日越をして本宮に通っていた。いつも峠の地蔵さんの近くで弁当を食べていた。弟子の一人はいつも自分の弁当を一箸地蔵さんに供えていたが甚五郎はそれを知らなかった。

 ある時弟子が棟梁より遅れて山越えをした時弟子の弁当箱を開いてみると、ご飯が少し減っているのに気づきこれは先に弟子が食べたに違いないと思いチョンナで弟子の鼻をそいでしまったところ弟子は血まみれになって宿に逃げ帰ってしまった。

 棟梁が仕事を終えて帰る途中、峠の地蔵さんを見ると鼻がぽっかり欠けていた。これは不思議と思って宿に帰ってみると弟子は何事もなくピンピンしていた。地蔵さんが身代わりになっていたのです。その件以来「鼻欠地蔵」と呼ばれるようになりました。

熊野古道大日越・鼻欠地蔵